「新しい時」のための曲は、ピアノ奏者兼作曲家のラミ・カリフェが、ドラム奏者のアイメリック・ウェストリッチと共に作曲・演奏したものです。このプロジェクトのために創作され、パリにあるアビー・ロード・インスティテュートで録音されたメロディは、その地に馴染んだ精神を反映していて、示唆に富んだビデオの映像からはそこに込められた感情がひしひしと伝わってきます。

ラミ・カリフェは、音楽を普遍の言語、隔たりを越えて人々と異なる文化を一つにすることができる「共通の財産」と定義づけています。彼のこの個人的なビジョンは、実は彼の人生経験そのものに由来しています。 レバノンの音楽家の家庭で生まれた彼は、祖国を苦しめた内戦から逃れるため、幼少期にフランスへと移住します。彼の音楽はまさにその彼のルーツのように、多種多様な影響を受けています。 クラシックなエコーとエレクトリックなリズムが、大胆さとほどよいバランスを保ちながら、オリエンタルなアクセントや、ロックの音響、さらに現代的なエクスペリメンタル要素と融合し、個性的でパワフルなメロディを生み出しています。

プロジェクトに不可欠なビデオ撮影においても、ラミ・カリフェは重要な役割を果たしました。アーティストとして、稀に見る絶景の中で「新しい時」のための曲をピアノで演奏しているのです。その絶景の舞台となったのは、カステッルッチョ・ディ・ノルチャの広野です。毎年、5月から7月にかけて、この高原の野原は黄色、赤、紫、青色に染まります。花々のうっとりするような色彩は、まるで印象派の絵画のように耕作地の景観に溶け込み、他では決して見ることができない自然のスペクタクルを創り出します。